シリアへの想い

淡い水色のあじさい

以下の文章は、リトミックと英語のコラボイベントを行った際に参加者のみなさんにお配りしたお手紙です。シリアへの想いがつづっており、ぜひ多くの方に読んでいただきたいと、ブログにもアップしてみました。ぜひお読みください。

 

シリアへの想い

本日はようこそお越し下さいました。

英語や音楽に興味を持たれている親御さんに、少し本日の趣旨とは離れているかと思いますが、私の経験を踏まえて、お伝えしたいと思い、書かせていただきました。長文ですが、よろしければ、お読み下さい。

(青年海外協力隊での子ども達との出会い)

2001年の夏から、私はシリアのラタキアという地で2年間音楽教師で教鞭をとりました。初めて難民キャンプの子ども達に会ったとき、必死で勉強したアラビア語で挨拶をし、オペラ「ジャンニ・スキッキ」の〜わたしのお父さん〜を披露すると、パレスチナの子ども達が「アーニセ・アヤコ!(あやこ先生!)ヘルークティール!(とってもきれい!)」と喚声があがったのです。私も未知の世界で、分からない事だらけでしたが、音楽は言葉や国境をこえるんだなあと本当に感動した思い出があります。アラブでは、西洋の音楽も普通に人気ですし、伝統的なアラブ音楽も宴会の席では普通に演奏され、沖縄の様にすぐ歌い踊るような雰囲気がありました。結婚式やパーティではダプケというみんなが手をつないで踊るダンスがとてももりあがります。中東、シリアには豊かな文化があります。

 

(シリアで出会った人たち、シリアという国)

アラブは日本から遠すぎて、過激なイスラムのイメージしか無いかもしれませんが、2年間、全く危険な目にも遭わず、むしろ人々の親切に助けられっぱなしでした。

シリアを旅した人は口を揃えて言いますが、シリアほど人が温かい所はありません。旅人は大事にするという教えで、タクシーではお金を受け取らないドライバーがいたり、初めて会っただけでおうちの手料理を振る舞ってくれたり。。。。

その当時はムスリムとキリスト教徒、他の宗派がモザイクの様に合わさって、絶妙なバランスで国は成り立っていましたが(もちろん国が抱える問題はありましたが)本当に豊かな国で、安定していました。教育もしっかりしていたし、女性も普通にバリバリと仕事をし、活躍していました。現在、戦争のため難民がたくさん流出していますが、それは命の危険があるからやむをえないことで、戦争さえ無かったら、皆シリアに誇りをもって、安心して幸せに住み続けることができました。。豊かな大地にオリーブの恵み、豊富な作物、美しい自然や手つかずの壮大な遺跡。。いい所をあげると、きりがありません。シリア、そして本当のムスリムは静かで、危険ではなく、私たちと同じ家族との生活を大事にする普通の人々だということを皆さんにはお伝えしたいのです。

 

(ダッカの事件について)

実は、先日のバングラデシュ・ダッカの邦人犠牲者の中に、協力隊の訓練所同期がおりました。彼女はいつも笑顔を絶やさず、優秀で素晴らしい人でした。途上国の国づくりのために、力を尽くしてきた彼女の命を奪ったのは、富裕層のイスラム過激派の若者達でした。もし、彼らがイラクやパレスチナで、身内を殺され、その報復のテロ、というのであれば、決してやってはいけないことだけど、理由はまだ分かります。ただ、恵まれた若者達が、洗脳されたのか、is(イスラム国)とつながり、わけも無くただ多くの命を奪うという犯行はただただ許せません。そうでない平和なムスリムがほとんどなのです。ただこれが、イスラム教徒=テロリストという誤解が強まりました。イラク戦争から始まった中東の不安定からisが台東し、世界がいつどこで何が起こるか分からない状況になっていることは、もはや現実なのだと思います。歪んだイスラム教の解釈に洗脳されている若者がいることが、本当に怖く、そして悔しいです。

(最後に)

私は、協力隊でシリアに行かなければ、イスラムに、中東に誤解を持っていたでしょう。なぜなら、情報がないから、知らないから。ただそれだけです。音楽を楽しみ、冗談が好きで、親切なシリアの人たちを知ってから、シリアに恩返しをしたいという思いをずっと持ってきました。皆さんにシリアの事を知っていただくのが第一歩かと思い、また、バングラデシュの事件で、日本のムスリムにも嫌がらせ等増えていると聞き、書かせていただきました。犠牲になった友人も、そんなことは望んでいないと思います。どうか、ひとくくりにイスラム教徒はテロ、と誤解しないでいただきたいのです。

 

今日来られた皆さんは、お子さんに英語を身につけてもらいたい、また音楽で感性豊かになって欲しいという思いをお持ちだと思います。

音楽は、魔法のように、外国の方と一瞬にして打ち解ける力をもっています。音楽の美しさはどの国の人も感じる、普遍的なものです。語学は、外国の方と交流できる、いまや不可欠なものとなっています。英語圏の人だけでなく、英語は中東やアジアでも、多くの人が話します。まずは英語を共通語として身につけるのもいいですし、他の様々な言葉を学ぶのも素敵なことです。

私たちが、音楽を愛し、また世界の方たちと交流しようという気持ちを持ち続ける事が、子ども達が安心して様々な文化にふれ、平和に暮らせる世界につながっていくんじゃないか、そう思っております。お子様の成長とともに、ぜひ、世界中の様々な国の文化に触れたり、お話をする機会をこれからももって頂きたいと思います。

私は、音楽に関わる仕事ができ、今回英語のmegumi先生とのコラボをさせていただくことで、ふと、この様なことをお伝えしたいと思い、書かせていただきました。長文お読み下さりありがとうございました!今日はどうぞ、お楽しみくださいませ。

大塚阿矢子

淡い水色のあじさい

 

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